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ロンドン旅行3、ロンドンでウナギを食する (No.1259 11/12/22)

 折角海外に旅行するなら何か特別な思い出に残ることをしたい。それも日本では絶対経験できないようなことをやってみたい。天の邪鬼な小生は、このようにしていつも人と違う道を歩きたがる。協調性がない自分勝手な性格で、有名観光スポットへ行くより、他の人がまず来ない、あるいは関心を示さない所に行く方がずっといいと思っている変な人間なのである。
 そんなわけで今回のロンドン旅行でのハイライトとして考えていたのは、欧州で古くから食べられているウナギを食することであった。ノーベル文学賞をとったドイツの作家、ギュンター・グラースの代表作「ブリキの太鼓」の中で、バルト海の堤防で獲ったウナギをパイにして食べる話が出てくる。だが、ウナギをパイにするとはどのようなものなのだろうか。日本にあるウナギパイとは全然違うものだろうが、日本の蒲焼きに負けないほどおいしい物なのか。前々から欧州のウナギ料理に関心を持っていた小生、ロンドンには100年以上続く名物のウナギ屋があると聞いていた。今回は絶対これを食べることを最大の楽しみにしていたのである。
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ロンドン旅行3、ロンドンでウナギを食する (No.1259 11/12/22)_d0151247_2183818.jpg ロンドンのウナギ屋で有名どころは二軒あるそうだ。今回我々が行ったのは、タワーブリッジに近い、「マンゼ、M.Manze 」。創業は1892年というから百年以上の伝統のある店である。場所はタワーブリッジを渡ったら、そのままタワーブリッジロードを2㎞ほど南に行った右側にあるが、橋から歩くときついので、バスの利用がお勧め。
 マンゼの営業時間は午前11時から午後2時までで、それを過ぎると店を閉めてしまう。午前中大英博物館で時間を取られ、閉店時間に間に合わないかもしれないと、途中からタクシーに乗ったら、タワーブリッジまでの渋滞がひどく、閉店間際ぎりぎりで間に合った。
 マンゼはタクシーの運転手も知っていて、有名人も結構来るそうで、店の中には来店した有名人の写真やサインがいっぱい張ってあった。また、1995年には最高のパイとマッシュのお店として、五つ星の賞を取ったという賞状もさりげなく張ってある。
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 だが、そんな有名店だからさぞや立派なレストランだろうと思って中へ入ったらびっくり。まさに町の食堂の雰囲気である。というか、テームズ川でウナギ漁をしている漁師が魚屋をやっていて、そのままお店を開いた感じである。店内に入って右側が調理場兼カウンターで、ここで注文と支払いをすませ、手前のテーブルで食べる。お店の雰囲気は日本のウナギ屋とは大違い。むしろラーメン屋と思えばいいだろう。
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 これが今回注文した料理。一番上がウナギのシチュー&マッシュ( Stewed Eeels and mash 4.50ポンド)、右中がウナギのゼリー仕上げ( Jellied Eeels 、3.55 ポンド)、下がパイ&マッシュ( Pie and Mash 、4.25 ポンド)。これに飲み物としてコーラを頼んだが全部で1500円ちょっとと驚くほど安い。ご覧のとおり田舎風にどさっと盛りつけたマッシュの量も多く、二人でこれだけでお腹いっぱいになった。ウナギはロンドンではずっと昔から庶民の安い食べ物だったのだ。
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 それではとまずはシチュー&マッシュにトライ。グリーン色をした野菜のスープにぶつ切りにしたウナギが入っている。やはりあのクネクネ、ヌルヌルしたウナギをさばくのは、ヨーロッパ人には難しいのかもしれない。骨ごとブツンブツンと切ったウナギがスープと一緒に煮てある。お店の宣伝文句だとスープの中には他の店では絶対に真似できない秘伝のリカー(だし汁・The liquor here is uniquely different to any other Pie & Mash shop as it contains a special, secret ingredient. )が入っていると書いてあったから期待したのだが、最初の一口、スープを飲んだら味が薄い。エッと思ったら、お店の人がなにやら瓶を持ってきて「この特性ビネガー(酢)をかけ、さらに塩とコショウで適当に味付けせよ」という。ビネガーもマンゼ秘伝のものだそうで、長い時間をかけて熟成したちょっと不思議な味がした。少しぴりっとしたモルト・ビネガーをかけたら断然味が引き立ってくる。こんなものは日本では食べられない。正直、これはおいしいと思った。ただし、日本のウナギとはまったく別物の味である。
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 こちらがウナギのゼリー仕上げ。ぶつ切りのウナギを多分薄味で煮付けたものを冷蔵庫にいれて、できてきた煮こごりとともに食べさせるもので、味も料理法も日本の蒲焼きとはまったく違う。これも秘伝のビネガーに塩を少しかけるだけでいい。白いドロッとした物はウナギの脂から出た煮こごりで、これはあまり味がしない。ウナギ本体もちょっと淡泊すぎると思った。きっとビネガーをもっとかければ味が違ったのかも知れないが、詳細は不明。食味としては不思議なもので、ノングルメの小生にはうまいともまずいとも判断することができなかった。丁度日本の塩辛を外国人が戸惑うように、恐らく欧州の人はこの味が好みなのだろう。
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 最後がパイ&マッシュ。こちらはウナギ料理ではないが、スープとマッシュは上の物と同じで微妙な味は捨てがたい。しかし、マンゼの売りは下のパイ。パイ生地の中に牛のひき肉をグレイビー・ソースとスパイス、リカーを加えて焼いた物で、これは文句なく「うまい」と言っていい。さすがにパイ専門店として五つ星を獲っただけのことはあると感心できる味だ。以上三点を食べただけでお腹いっぱい。この後、再びタワーブリッジに戻って、ライトアップしたブリッジの写真を撮ってホテルに戻った。

以下明日に続く。
by Weltgeist | 2011-12-22 23:22


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