人気ブログランキング | 話題のタグを見る

物忘れが他人に及ぼす迷惑 (No.1226 11/11/15)

 巨人軍の清武球団代表兼GMがドンである読売新聞の渡辺主筆に苦情を言ったことが話題になっている。次期読売巨人軍コーチを岡崎氏と決めてあり、渡辺主筆にも報告していたはずなのに、彼が江川氏にすると言い出した。これにたまりかねて「前もって報告してあることを覆さないでくれ」と涙ながらに記者会見で訴えた。すると渡辺主筆は「おれはそんなことは聞いていないぞ」と息巻いていたが、結局は後で聞いていたことを認めた。おそらく自分が聞いていたことを忘れていたのだろう。このくらいの年齢になると記憶力の減退は避けられないのだ。それをみんなの前で「おれはそんなことは知らん」と言って自分のボケ具合をさらけ出してしまったのである。
 しかし、いくらボスが横暴で前に決めたことを忘れて勝手をしたからといって、それに逆らうのはサラリーマンではよほどの覚悟がないとできない。清武代表は自分が首になることも覚悟の上での発言だろう。いわば捨て身の刺し違えである。こんなことをしでかすのはボスの横暴行為が日常的にあって、ついに腹の虫が治まりきれなくなったのではないだろうか。この勝負、どちらが勝つのか興味はあるが、それでも結局はボス、渡辺主筆が清武氏の首を切って終わりになる気がする。
 自らの首を覚悟して訴えた清武氏に応援してあげたいが、日本の現状では彼が勝つ見込みは非常に少ない。会社の不正を内部告白した社員が最終的には犠牲になるのが日本社会である。しかし、勝手なことをする渡辺主筆に一矢を報いたのは確かだ。清武氏が首になったとしても、ここまで根性が入っている人間はきっとどこかで拾ってくれる。そう思わないとこの世の中に正義はないことになってしまうではないか。
物忘れが他人に及ぼす迷惑 (No.1226 11/11/15)_d0151247_2249185.jpg
 言われたことを忘れる。その結果がとんでもないことに進展することがよくある。以前、ある川で友人と鮎釣りをして、夕方釣りを止めて車に戻るとき、小生が重たいオトリ缶を運ぶから、友人には小生の竿を運んでくれるよう頼んだ。ところが、翌朝、別な川で釣りをしようとトランクを開けたら小生の竿がない。友人に「ぼくの竿は? 」と聞くと、真っ青な顔をしている。昨日持ってくるのを忘れて川原に置いてきてしまったのである。
 このとき使っていた鮎竿は定価が37万円するグランドスリムという鮎竿だった。こんな竿が川原に転がっていれば、よほどの正直者でない限り、天からの授かり物として拾って帰ってしまうだろう。それをいまになって気がついてもどうしようもないのだ。
 しかし、小生は悲しかったけれど「おれの竿を弁償しろ」などと詰め寄ったりしなかった。自分は被害者ではあるが、忘れた張本人にならなかったのが幸いだったともいえる。もし逆の立場だったらひどい苦痛と屈辱感を味わなければならなかったろう。このときは大事な竿をなくしたショックと加害者にならないで良かったという複雑な思いをしたことを覚えている。
 忘れ物ではもっとひどい物を忘れたことがある。妻を置き忘れて自宅に帰ってしまったことがあるのだ。近所に住むBさん夫妻と小生の車で夕飯を食べに行き、帰りにBさん宅まで夫妻を送り届けた。狭いフィットの後部座席にはBさん夫人と妻、前の助手席に体が大きなアメリカ人のBさんが乗っていた。そして、Bさん宅に着いて夫妻はそれぞれのドアを開けて降りる。
 助手席と後部のドアがバタンと閉められた音を聞いて、妻が後部座席に乗っているものと思い、「それじゃぁ」と言いながら車を走らせた。Bさん宅からわが家までは数分である。そしてまもなくわが家に着くというとき、小生の携帯電話が鳴った。妻からである。だが、後ろの席に乗っているはずの妻が何で電話をしてくるのか、一瞬分からない。
 妻はBさんが降りたため助手席に乗り換えようとしている間に小生が発進して彼女を置き忘れてしまったのだ。幸い数分でBさん宅に戻ることができたからたいした事にはならなかったが、その後小生が妻にまったく頭が上がらなくなったのは言うまでも無い。
by Weltgeist | 2011-11-15 23:44


<< 喉がやけどするくらい熱いお茶が... 人の死と終末医療 (No.12... >>