昨日に続いてフランス、ブルゴーニュー地方の古都、ディジョン市立美術館で巡り会ったメルキオール・ブルーデルラムの「シャンモル修道院祭壇画」の話である。(小生の性格からして、きっと話がしつこくなると思うので、こういった話題に興味のない方は申し訳ないですが、このスレッドが終わるまでスルーしてください。)
さて、謎多き画家・ブルーデルラムの唯一残存する「シャンモル修道院祭壇画」は変則的な形をした左右二枚のパネルからなり、新約聖書におけるイエス・キリスト誕生の由来を4つのシーンで時系列的に描いたものである。今日はそのうちの左パネルの二つのシーンをとりあげたい。最初が「受胎告知」、右が「聖母マリアのエリザベツへの訪問」である。 全体の構成は左の「受胎告知」が室内、右の「聖母マリアのエリザベツへの訪問」は屋外でしかも険しい山岳地帯の風景を描いている。 「御使いガブリエルが、神から遣わされてガリラヤのナザレという町の一人の処女のところに来た。この処女はダビデの家系のヨセフという人のいいなずけで、名をマリアといった。御使いは入って来ると、マリアに言った。”おめでとう、恵まれた方。主があなたとともにおられます。”しかし、マリアはこの言葉にひどくとまどって、これはいったい何のあいさつかと考え込んだ。すると御使いが言った。”こわがることはない。マリア。あなたは神からの恵みをうけたのです。ご覧なさい。あなたはみごもって男の子を産みます。名をイエスとつけなさい。”」(ルカ福音書1:26-31)と書いている。 ガブリエルが伝える神のお告げは、彼の持つテープにラテン語で書かれている。いわば現代の漫画に使われる吹き出しの手法をここで使って、神の言葉をより明瞭に人々に伝えようとしているのである。建物は室内のような屋外のようなしゃれた東屋風の作りで、すでにこの時代から遠近法を用いて描かれている。二人の間には白い百合の花が置かれている。これはマドンナリリーと言ってマリアが純潔な処女であることを象徴するものである。他の画家の作品でもガブリエルはしばしば白い百合を持って登場している。 明日は続けて右パネルについて書きます。
by weltgeist
| 2011-06-24 20:20
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