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管首相の浜岡原発全面停止要請について (No.1056 11/05/08)

 管首相は指導力がないとみんなから揶揄されて、頼りないと思われていたが、ようやく指導者らしい決断をしてくれた。静岡県浜岡原子力発電所の全面停止要請を行ったことを評価したい。周囲からあれこれ言う雑音を一蹴して、自分の主張を出したことに多少の指導力を感じる。アメリカの同時多発テロ、9.11の時はニューヨーク市長、ジュリアーニが指導力を発揮して皆を落ち着かせた。このときも色々な意見があったが、有無を言わさず彼の独断で決定して、指導力を示した。能力ある政治家はかくあるべきだろう。
 中部電力は浜岡で起こりうる津波の高さは最大でも8mと想定し、海抜10~15mの砂丘の上にある浜岡原発は安全だと言っていた。今となってはこんな状況を「安全だ」と言い張っても誰も信じないだろう。今後30年以内にマグニチュード8クラスの東海地震が起こる確率は87%と極めて高く、しかもその予想震源地のど真ん中に原発がある。ことは緊急を要するのである。
 この要請は難しい問題を含んでいる。静岡県の川勝平太知事は「大英断だ。敬意を表します」と述べたのに対し、御前崎市の石原茂雄市長は「何を考えているのか、さっぱりわからない」と困惑を隠せない様子だったという。
 知事は停止賛成、地元御前崎市長は地元経済への影響を考えて難色を示している。原発問題は利害と結びつくのだ。しかし、直接的な利害関係がない我々は原発が無い方がいいに決まっている。福島と同じ事故が浜岡原発で起これば東京だって無傷ではいられない。冬の時期なら西の強い季節風で、放射能が東京方面に降り注ぎ、1千万人の都民がどこかへ避難しなければならない状況もあり得るのである。 
 だが、原発が止まると電気の需要をどうするのか。今後原子力発電は止めていくのか、日本の進路を決める難しい問題について首相は何も言ってくれない。国民は歯がゆさを感じるばかりである。しかし、問題を首相の指導力の欠如だけに押しつけることはできない。
 責任の一端は我々の方にもあるのだ。これまで何も考えずに電気を贅沢に使ってきた。それは非常に怖い原発で支えられていたことが見えてきたのである。原発事故の遠い責任は我々にもあると自覚すべきだ。だから浜岡原子力発電所が全面停止することは、良いことだと小生は考える。
 しかし、ただ原発反対だけを叫ぶのも無責任だ。反対は分かるがそれでは足りない電力をどう産み出すのか、これを機会にみんなで議論していくしかない。日本には自然資源が潤沢にある。沢山流れている川をせき止めて水力発電所を作ればいいという意見がある。釣りが大好きな小生にはこの意見は承伏しがたい。といってそれでは原発を推進するかと言われても困る。とりあえず我々ができることは可能な限り電気の使用を控える節電しか思い浮かばない。
 原発とエネルギーの問題はパンドラの箱である。東日本大震災がその箱の蓋を開けた以上、我々はその解決策を見いださなければならない。管首相は浜岡の停止要請をしたが、その先をどうするか道筋を示してくれない。これがイマイチ信頼できない首相の要因でもあるのだが、今は仕方がない。無能な首相であっても我々は彼を支え、良き解決策を見いだしてくれるのを節電しながら待つしかないのだ。
管首相の浜岡原発全面停止要請について (No.1056 11/05/08)_d0151247_22512690.jpg

by weltgeist | 2011-05-08 23:47


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