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新潟県荒川、三面川還暦祝い鮎釣行 (NO.833 10/09/20)

 幹事、**氏の判断よろしく新潟県での還暦祝い鮎記念釣行会は昨日無事に終了した。心配していた川のコンディションは増水が収まりつつあって、何とか竿を出すことは出来たのだ。しかし、竿を出せたことと成果のある釣りが出来たかは別問題で、釣果の方はさっぱり駄目だった。
 初日の釣果はトップが4尾、次ぎが3尾、2尾と続き、その後の人は全員ゼロ。竿頭という栄光の誉れを得たのは、何と小生で、みんなのゼロ・オンパレードを尻目にトップを独走、と言いたいところだが、こんな貧果では自慢など出来るわけがない。2位の某有名アウトドアー誌の元編集長だったK笹氏は、実際には4尾掛けながら、取り込み時にタモアミからこぼれ落ちてトップ釣果タイブレークを逃したとぼやいている。それほど低レベルの戦いであった。
 ここまで釣れなかったのはみんなの腕が悪いわけではない。一週間前から続いた大雨で鮎の餌である川底のコケが流されてしまい、釣りにならなかったからだ。釣り師の間の専門用語で言う「白っ川」と呼ばれる状態で、餌場を独占しようとする野鮎の闘争心が全然ないからいくらオトリをポイントに送り込んでも何の反応もないのだ。というより、川底の石にコケが着いていないので、ポイントそのものが無いに等しいのである。こんな状態で鮎が釣れるわけがないのだ。
 しかし、今回のメンバーはみんな余裕の釣り師ばかりで、釣りは二の次、釣れて良し、釣れなくて良しと鷹揚に構えている。釣れないからと言って不満を感じる人など誰もいない。みんな今日の状況の悪さをすぐに察知して、早々と釣りを切り上げると、陸に上がって懐かしい昔話に興じている。釣り師特有の「釣りまくるぞ」というギラギラ感がないのだ。だから、普通の釣り師のように釣れないからと打ちのめされるなんてことはない。みんな釣り場で竿を出しさえすれば満足なのである。
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広い荒川のポイントで竿を出しているのはわれわれのグループだけ。貸し切り状態を喜んだが、実際は釣れないから誰もやっていないのだ。足下の石は数日前の増水で洗い流されて鮎の餌となるコケなど全然着いていない。鮎のポイントとしては抜群な所なのに、この場所ではついにメンバー全員が1尾の鮎も釣ることが出来なかった。

 ところで、今回の還暦祝いの主賓は、あの「陰陽師」の作家・夢枕獏さんである。ところが、売れっ子作家というのはたいへんで、いつも締め切りに追われている。今回も土曜日の朝まで都内のホテルに缶詰になって原稿書きをしていた。獏さんは今朝までに原稿を仕上げ、昼頃には我々と合流して一緒に鮎釣りを楽しむ予定になっていたが、現場に着いたのは午後4時。すでに夕暮れが始まり、メンバー全員が陸に上がって竿をしまった後だった。
 その夜は還暦を迎える獏さんとK笹氏、K山氏を囲んで夕食。みんなと釣りの馬鹿話しをするのはとても楽しい。しかし、せっかくここまで来ていながら一人だけ竿を出していない獏さんは、欲求不満もあったのだろう。夕食後、岩船港にアジの夜釣りに出かけていった。そして、帰ってきてからまた原稿書きである。眠くて仕方がない小生は、獏さんが戻ってきた頃には爆睡していたようである。
 翌日曜日、獏さんの原稿はまだ終わらず、「僕はあと4時間ほどで20枚原稿を仕上げてから皆さんと合流するから、先に行って釣りをやっていてほしい」と言う。流行作家というのは憧れの職業だが、毎日のように締め切りに追われる姿を見ると、遊び人の小生にはとても出来ないことだと思ってしまう。いつも超忙しい原稿執筆をうまくこなしながら、釣りもしっかり楽しむ獏さんの仕事ぶりには感心している。
 それで主賓の獏さんを宿に残して我ら一兵卒は再び出動。しかし、前日の荒川での状況から、ここでの釣りは諦め、隣の村上市を流れる三面川の様子を見に行く。すぐ隣を流れる三面川が荒川と比べて良い状況とも思えなかったが、案の定、三面川は荒川以上に濁っている。この芳しくない状況を予測していたk笹元編集長組は、鮎を諦めて三面支流高根川上流でのイワナ釣りに行くと言う。獏さんも原稿が終わり次第彼らと合流するということで、ここで彼らとは別行動となった。
 幹事の**氏とk山さんは昨日だけで十分満足したから今日は釣りはしないと言うが、鮎にこだわっている小生たちに付き合って、濁りのない支流のポイントを見て回ってくれる。しかし、結局、K笹氏が目指した高根川中流以外は水が澄んでいる所はない。この川は上流にイワナがすむだけあって、水もきれいなのだ。
 そして、高根川中流を数カ所見て回ったところで、どうにか鮎釣りが出来そうな場所を見つけた。こちらもコケが流されていて、石が真っ白になった「白っ川」状態で、望みは薄そうだが、岸に近い場所にはわずかにコケが残っていそうである。その場所を狙って小生とTK氏、それに鮎より三面河口のハゼ釣りに食指を動かしていたカメラマンのU氏を説得して3人で11時から3時まで竿を出した。その結果、小生の釣果は8尾。短い時間でこれだけ釣れれば良しとしなければならないのだろうが、ツが抜けなかったのはちょっと残念だった。
 釣果という点では全然恵まれなかったが、今回の釣行は長らく顔を合わせていなかった古い友人とも会えたし、獏さんから楽しい話も聞かせてもらった。それに恐れていた脊柱管狭窄症による足の痛みも少しは出たが、二日間連続して釣りが出来たことで、自分の体にも次第に自信を持てるようになってきた。楽しく過ごせた二日間だったと思っている。
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三面川支流、高根川中流を釣るU氏。彼と会うのは10年ぶりくらいだが、背筋を伸ばしたピシッとした姿勢は昔と変わっていない。ご覧のように流芯ではなく、コケが残っていそうなヘチを重点的に攻めていき、一時入れ掛かりになっていた。
by weltgeist | 2010-09-20 23:15


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