興味の無い人には蝶だの鳥だの花の写真を撮っても毒にも薬にもならないつまらない写真に過ぎないと先日悪口を書いたばかりだが、今日はまたまた蝶の写真を掲載することとなってしまった。従って、蝶に興味のない人はきっと面白くないからスルーしていただきたい。
つまらない写真になりやすい蝶の写真をなぜまだ撮っているのか。それは小生が蝶が好きだからではあるが、それ以上に感じるのは蝶ならいくら撮ってもプライバシーは関係ないからだ。何の気苦労もなしに思いのままに撮影できるのは本当にストレスがなくてよろしいのである。 今回のターゲットはミドリシジミ。ゼフィルスといってこの時期に木々の梢の所を飛んでいる緑色に輝く翅を持ったきれいな蝶である。大きさは翅を広げて2㎝くらいの比較的小さなシジミチョウである。蝶の種類としてはそれほど珍しいものではないが、彼らは湿地帯に生えるハンノキを餌にしているので、この木があるところにしかいない。 とくに東京周辺では湿地帯の多くが埋め立てられて、水田や宅地になって生息地が極端に少なくなっている。小生が散歩する前の森にも非常に小さな湿地があり、ここに10本弱のハンノキが自生している。こんな少ない木でも「もしかしたらミドリシジミがいるのではないか」と思って昨年は10日くらい通って、ようやく一度だけ目撃することが出来た。東京周辺でも湿地帯とハンノキがあれば細々でも生息出来ることを確認したのである。だが、昨年その姿をカメラに納めることは失敗した。ミドリシジミの習性がよく分からず、無闇に出かけたから無駄な空打ちばかり繰り返してしまったのである。 今年は昨年の敗退に懲りて、餌のハンノキが生えている湿地帯を何カ所かマークしていて、そこを重点的に調べてみることにした。そして昨日、ワールドカップ、デンマーク戦が終わった直後の午前5時半に家を出て、その場所でついにミドリシジミと出会うことが出来たのである。 だが、ミドリシジミがいるのを見つけただけではまだ駄目である。彼らはいつもはハンノキの梢付近にいて、夕方には群れになって飛び回っている。10m以上ある高い場所だからそれを撮影することなど難しいのだ。ところが、連中は朝方はハンノキの下周辺にある草のうえなどに降りてきていることを先輩から教えてもらった。それを狙って昨日の早朝に出かけたのである。 狙いを定めた湿地帯に行くと、教わった通り下草の上にミドリシジミが降りてきているのを発見した。それが上の写真である。昨年は 高いところで激しく飛び回るのに手も足も出なかったが、それが今目の前で休んでいる。さすがに先輩のアドバイスは適切だ。しかし、まだ薄暗くて光量が足りないから最初の一発は外部ストロボを焚いて撮ってみたが、それでも逃げないでいる。気温の低い朝はまだ連中も半分寝ぼけているのだ。 しかし、ただ葉っぱに止まっているだけの蝶の写真などそれこそ面白くない。数枚撮ったところですぐに飽きてしまった。出来れば彼らの特徴である緑色に輝く美しい翅を開いて、朝の光の中を飛び立っていくところが撮りたかったのである。だが、そう思っても相手は言葉が通じる人間とは違う。自然の中で思い通りに生きている虫だからこちらの命令など聞いてくれるわけはないのだ。翅を開けといくら小生が念じても気が向かなければ開いてはくれないのである。 ここからは待ちの時間をどこまで耐えられるか、忍耐の問題となる。ミドリシジミは時々少し移動するが、まだ梢に上昇していく気配は見せない。上に飛び立つ直前には翅を広げるだろう。小生は彼らが上に飛んで行くコースを想定して、その方向にカメラを向けてチャンスを待つ。だが、翅は止まっているときでも一瞬開くことがあるのだが、ものの0.5秒くらいで閉じてしまうから撮影のチャンスとはならない。何度かそのチャンスを逃がしているうちにヤブ蚊とブヨがいっぱい飛んできて、半袖で無防備の両腕に容赦なく食いついてくる。藪の中で、ひたすら待ち続けるのは楽ではないのだ。 最初のミドリシジミはどうやら雌のようで、10分ほどじっとしていたと思ったら、いきなり梢の方に上昇してしまった。早すぎてとてもシャッターを押すチャンスなど無かった。8時半までの間に、3頭ほどが同じように下草に降りて来ているのを見たが、どれも翅は開かない。時々開きそうな思わせぶりをする奴もいるが、小生を見透かしたかのように開かない。そして、9時前には全部がまた梢に向かって素早く飛び立ってしまい、結局昨日の撮影では狙ったアングルのものは全部駄目だった。 家に帰ってその成果をPCで拡大して確認したが、下のような中途半端なものを撮るのが精一杯であり、昨日の作戦は完敗に終わってしまった。まもなくミドリシジミ発生のシーズンは終わる。明日は鮎釣りの予定だから蝶のリベンジは出来ないだろう。体は一つしかないのだ。鮎釣りも楽しい、しかし、蝶の撮影も再挑戦したい。それができるのは来週の月曜日以降だが、そのときまだ彼らがいいるかどうかは分からない。ミドリシジミとて都合があるだろう。久しぶりの鮎釣りも楽しみたいという欲張りな小生の都合に彼らが合わせてくれるかは保証の限りではないのだ。 一期一会、すべてはそのときそのときの一瞬で終わりである。「後でまた撮ろう」なんて考えは甘いのだ。
by weltgeist
| 2010-06-26 21:45
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