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脊柱管狭窄症治療への道1、暗く厳しい病魔の囁き (No.713 10/05/02)

 最初はぎっくり腰だと思って、いくつもの整形外科医院や整体などに通い詰めながら、結局どこへ行っても治ることがなく、痛みを抱えたままさ迷う「腰痛難民」と化していた小生、某医科大学での2回のMRI検査によって、「脊柱管狭窄症」(小生の場合正確には椎間孔狭窄症)と診断された。しかし、これまで「腰痛難民」としてさ迷った経験から、今回の診断も率直には信じられない気持ちがした。今までのお医者さんはどれも小生の痛みを和らげてはくれなかったからだ。
 今回、某医科大学病院整形外科のT教授が小生のMRIを見て、「脊柱管の狭窄はさほどひどくはないが、椎間孔という部分の孔が狭くて、ここから出ている神経が骨に当たって痛みが出ていると思われる。この部分に造影剤を入れて詳しく撮影して手術の必要があるかどうか考えましょう」と言われたときは、今度こそうまくいくかもしれないと、少し希望が持てる気がしてきていた。というのもT教授は脊柱管狭窄症では相当の名医と評判の先生だからだ。小生としてもT先生に最後の希望を託すという追いつめられた気持ちで先月23日に入院したのである。
 T先生の話では、造影剤を入れるとき同時に神経ブロック注射もやってみるという。だが、この検査は脊髄神経に注射するから出血やその他の医療事故が起こる可能性がある。とくに小生の場合は心臓に人工弁が入っている関係で、血液をサラサラにするワーファリンという抗血液凝固剤を服用しているから慎重にやらなければならない。ブロックの針で大量出血すると血液がサラサラだから血が止まらなくなって、下手をすると半身不随になる恐れもあるからだ。そのためサラサラ度を下げて止血しやすくする必要があるが、そうなると今度は血の塊、血栓が出来やすくなるのである。
 以前別の病院でブロック注射や外科手術をしたときは、ワーファリンを手術の一週間ほど前から止めさせて、血液の粘度を正常な人と同じ程度( PT INR という数値で小生は2.6くらいと高いが、正常な人の値は1.0)に戻していた。そうなると人工弁付近で出来た血栓が飛んで脳梗塞の恐れがあるのだが、普通の病院はそんなことはお構いなしである。「もしかしたら血栓が出来て脳梗塞になるかもしれないが、それは自己責任。それに納得しなければ手術は出来ない」という病院がほとんどである。
 だが、某医科大学病院の担当医は「大学病院ではそんな無責任なことは出来ない。脳梗塞を起こさないような処置をする」と言う。どういう方法かというと、先ずワーファリンの服用を止めて、その代わりにヘパリンという抗血液凝固薬を静脈から点滴で注射するのである。ワーファリンの場合は薬を飲んでも数日後でないと血液がサラサラにならず、また止めても数日後までサラサラ効果が残っている。ところがヘパリンだと点滴を止めればすぐにサラサラ度が消えて平常値に戻る。脊髄神経に造影剤を注射する数時間前にヘパリンを止めれば、血栓が出来る可能性はほとんど回避できるのだ。
 そんなわけで23日に入院した小生、その日からワーファリンの服用を止めてヘパリンの点滴に切り替えられた。これは下に添付した写真のように太い注射器から伸びた管を小生の静脈に刺して行った。注射器は電動で4CCくらいのヘパリンを24時間かけて少しずつ血管に送り込んでいく。そして、毎朝採血して血液のサラサラ度がどの程度になっているか測定するだけで丸5日間過ごした。他のことは一切しない。ただ、ワーファリンの影響を完全にカットし、ヘパリンだけでコントロール出来る体になるまで小生はひたすら待ち続けたのである。
 普通の病院ならこんな面倒なことはしないで、患者の自己責任に任せてワーファリンを止めさせる。それで万が一脳梗塞になっても「当病院は一切関知しない」ととぼけるのだろうが、某医大病院は小生の安全面を考えてここまでやったのである。毎日点滴を打ち続けられる以外何もすることのない患者にとって、それは有り難いことなのだろうか。もちろん、有り難いことなのだろうが、実際ベッドに寝ているだけの小生にはかなり退屈で苦痛な5日間だった。

以下明日に続く。
脊柱管狭窄症治療への道1、暗く厳しい病魔の囁き (No.713 10/05/02)_d0151247_23193953.jpg
右側にある注射器のついた機械がヘパリンの点滴器。注射器の先端から出ているチューブは小生の左腕の静脈につながっていて、約4CCくらいのヘパリンを24時間でゆっくり入れるように設定されている。四六時中ずっとこの点滴につながれていて、トイレに行くのも、売店に新聞を買いに行くにもコイツをゴロゴロと引きずって行かなければならない。囚人のような気分になってしまい、とにかくうっとうしいのだ。左は病院の食事。塩分が薄くて正直、とてもおいしいとは言い難かった。
by weltgeist | 2010-05-02 23:58


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