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キウイの大安売り (No.545 09/11/03)

 近くの農家でキウイが安く売っているよ、と近所のおばさんから教えられ、妻がたくさん買ってきた。キウイが日本に入ってきたのはいつ頃のことか知らない。食べ物にあまり興味のない小生にとっては、いつの間にか当たり前の「日本のくだもの」になっていたもので、気が付いたら我が家の近くにはそのキウイを栽培している農園が何軒かあるようになっていた。
 農家のキウイは、秋になると一本の木からものすごくたくさんの実がなる。その見事ななりっぷりを見ていて「あれほどたくさんなるもなら我が家でもとれるだろう」と単純に思った小生は、植木屋さんから苗を買って庭に植えたことがある。
 しかし、素人の悲しさ。わが家の狭い庭に植えて数年待ったが、一向に実がならない。それどころか、キウイというのはすごく成長力のあるつる性の植物で、実はならないくせにどんどん大きくなって、つるをあちらこちらにはわせ始めるのである。
 最初はわが家の庭から、二階のベランダまでつるを伸ばす程度だったのが、そのうちに隣家にまで伸びて行き、たぶん隣家が大切にしていると思われる植木につるを巻き付け始めた。これはまずいと、その部分を切り取ったのだが、キウイの成長力は恐るべきで、切っても切っても新しいつるを伸ばしていくのである。
 わが家のキウイは2本植えてある。これはキウイが雄と雌の株があるから、両方植えないと受精しないと聞いていたからだ。従って、二本のつるが互いに競うようにして狭い庭をビシビシ侵略し始めてくるのだ。それでも庭になったキウイが食べられるならと我慢していたが、いつまでたっても実がならないのである。
 そして、あるときふと二本のキウイがそれぞれ雄雌ではなく、両方とも同じ雄ではないかと思い始めたのである。思い出してみると、花のようなものが咲いた記憶がない。植木屋さんは雄と雌の株をはっきり分けて売っていたが、それが最初から間違いではないかと疑問を感じるようになったのだ。しかし、それでも確信がないからさらに数年待って見たが、結果は同じだった。
 雌雄別株でないなら、このままずっと待ち続けても、成果を得ることはできないだろう。そんな可能性がないものをいつまでも植えておくのは意味がない。それにキウイは侵略性が強いから、狭い庭全部がつるで覆われて、他の花などに日が当たらなくなる恐れも出てくる。こんな狭い庭に植えたことが自体が間違っているのだ。生き物を殺すのはかわいそうと思ったが、切っても切っても隣家につるを伸ばそうとするキウイの強さに負けて、3年ほど前に二本とも抜いてしまったのである。雌雄を選び間違えたのは人間の責任なのに、彼らが犠牲にさせられてしまったのだ。だが、日本の貧弱な住宅事情ではキウイを伸び伸び育てるのは無理である。抜いてしまったことは許してほしいと思っている。
 そんなわけで本日の午後はキウイデーとなってしまった。大安売りだからたくさんあって食べ放題である。安い理由は形が不揃いで商品にならないものだからだ。小さい物では山にあるサルナシくらいの大きさしかない。こんな小さなキウイなど見たこともないが、農園のおばさんに言わせるとこれの方がおいしいと言って、おまけとしてただでもらったらしい。そのちびキウイの味は確かにおいしく、山で採れるサルナシの味に似ていた。
 と、ここまで文章を書いたところで小生、大事なことを忘れていた。肝心のキウイの写真を撮らないで、サルナシサイズのちびキウイを全部食べてしまったのだ。下の写真に写っているのは中型、大型のいずれも形が崩れた定形外のキウイで、残念ながら最小サイズは小生のおなかの中に入ってしまって、あとの祭りとなってしまった。
キウイの大安売り (No.545 09/11/03)_d0151247_23251794.jpg
近所の果樹園で大安売りで売られていたキウイ。左にあるのは小さすぎるし、右の皿に入っている物は大きすぎて、形も不格好である。どれも形がキウイらしくないから売り物にはなりにくいのだ。ここには写っていないが、ビー玉より少し大きめのキウイもあって、これがたいへんおいしかった。こうしたものが正規の商品として流通しないのはもったいない。安ければ、形にこだわらないで買ってくれる消費者はたくさんいると思うのだが。
by weltgeist | 2009-11-03 23:56


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