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映画、Hachi 約束の犬 (No.487 09/09/07)

 久しぶりに映画を見に行った。昨年、ロシア映画の「復活(トルストイ作)」を見て以来だから、本当に久しぶりである。映画をあまり見ないのは何故か、2時間近く映画館の椅子に座っているのが嫌なのだ。貴重な時間を無駄に過ごすような気持ちになってしまう。実際には本を読むのと同じで、それなりの心に感じるものがあるはずだから、決して無駄ではないのだが、椅子に座らされることで、自分からストーリーを読み進んでいく自主性を奪われる気がするのである。もちろん、これは誤解であり、間違ってはいることが、映画を見終えてよく分かった。
 今回見たのは「Hachi 約束の犬」である。渋谷のハチ公をモデルにした米国の焼き直し版で主演はリチャード・ギア。アメリカに送られた秋田犬の子供が、手違いから迷子になり、リチャード・ギア扮する「パーカー教授」に拾われ、彼に懐いていく。そして毎日、パーカーが降り立つ駅の前で彼が帰ってくるのを待っている。しかし、現実のハチ公のようにある日教授は授業の途中で倒れ、帰らぬ人となる。
 渋谷駅で飼い主の教授を9年間も待ち続けたハチ公は日本で最も有名な犬で、誰もが知っている話である。それとまったく同じで 毎日、夕方5時に駅でパーカー教授の帰りを出迎えていた Hachi は、その後、毎日毎日駅前でパーカーを待ち続ける。残された夫人と娘夫婦はHachiを引き取り別な町に引っ越すが、彼はそこを飛び出し、毎日パーカーが降り立ったベッドリッジ駅頭に戻って何年も何年も待ち続けるのである。そして最後は雪の降る冷たい夜、静かに目を閉じていく。教授が彼の前に現れて「 Hachi,what are you doing here? 」と言って抱き合うシーンを夢見ながら、彼は眠るように死んで行く。
 映画はこの話が日本で実際にあった実話で、渋谷にはハチ公の像があることも紹介されて終わる。我々にとっては馴染みの話がハリウッドでどのようにリメイクされるのか、いささか心配していた所もあったのだが、見終えて心が静まるような感動を覚えた。 
 自分はネコ派であり、犬は好きではない人間だった。しかし、映画に登場する Hachi は実にかわいく、こんなかわいいのなら犬も飼いたいな、という気になってしまった。
 印象的だったのは、リチャード・ギアが渋みを増した演技をしていて、 撮影用に用意された Hachi と本当に信頼関係を築き上げた画面になっていたことだ。自分も以前に撮影用に訓練された鷹でCMを作った経験があるが、ここまで犬と心が通じ合えるようなシーンを撮るのはたいへんだったろうと思う。
 この映画の主役はリチャード・ギアではない。まさしく Hachi である。日本の秋田犬が名俳優をも食ってしまっている。だが、それでいてまったく嫌みがないのだ。日本にこのような犬がいたことを誇りに思えた映画だった。
映画、Hachi 約束の犬 (No.487 09/09/07)_d0151247_21101819.jpg

    写真はHachi 約束の犬、オフィシャルサイトからDLさせてもらいました。
映画、Hachi 約束の犬 (No.487 09/09/07)_d0151247_2111739.jpg

    この写真はL-Curuise 日経トレンディネットよりDLさせていただきました。
  
by weltgeist | 2009-09-07 21:12


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