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釣り師憧れの地アラスカ3、ホーマー (No.473 09/08/22)

●巨大ハリバットフィッシングに挑戦
 前日はスワードでシルバーサーモンを釣った後、午後からキナイ半島の先端に当たるホーマーへ移動した。スワードからホーマーまで約280㎞あるが、このくらいの移動はアラスカでは問題にならない。特に夏は白夜で夜遅くまで明るいから、午後遅く出ても明るいうちにホーマーまで着くことが出来るのだ。
釣り師憧れの地アラスカ3、ホーマー (No.473 09/08/22)_d0151247_23441329.jpg キングサーモンが一番良く釣れる7月始め頃は真夜中でも日本の夕方より明るいほど完全な白夜になる。8月中旬だとそこまでの白夜はないが、暗くなるのは午後9時半頃からである。日本なら真っ暗な時間になる比較的遅い時間にホーマーに着いたにも関わらず、夜遅く行動しているという意識も起こらない。

 さて、これから狙うホーマー沖のハリバットなる魚は、日本ではオヒョウという名で知られるカレイの仲間である。主に北太平洋からベーリング海にかけて生息し、日本では北海道でたまに釣れる程度で、大きさも50㎝あれば大きい方である。とことろがアラスカのハリバットはとてつもない大きさになるのだ。左の写真をご覧頂きたい。たまたま我々がホーマーで見かけた写真をコピーさせてもらったものだが、こんな巨大な魚になるのである。
 小生が最初にホーマーを訪ねた1980年代前半の頃は、人間の身長より少し長い2m、200ポンド(90㎏)くらいの大物はほぼ毎日誰かが釣ってくるのが普通だった。二日続けて同じ船に乗ったことがある。その時も連日同船者が2mくらいのものを目の前で釣り上げていた。そんな巨大ハリバットの取り込みは如何にもアメリカ的な荒っぽい方法でやる。水面に上がってきたところを銃で撃ち殺してしまうのだ。昔はパンパンという銃声が釣り場に集結した船のあちらこちらで聞こえたものである。
 今回ホーマーでハリバットフィッシングをやるのは10年ぶりくらいである。10年前に来たときは仕掛けを降ろしたと同時にすぐにアタリがあり、海底にはそれこそ隙間無くハリバットがひしめいていて、オモリが彼らの背中に落ちるのではないかと思えるほど沢山釣れた。今回もあの頃のいい思いがまた味わえるはずである。銃で撃ち殺すほどの大物が今度こそ自分にも釣れるかもしれないと、勇んでやってきたのである。
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ホーマーは長い砂州の上に出来た港町で、ハリバットを釣らせる船宿やレストラン、お土産屋がこのような小さな小屋状に並んで建っている。
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小生が80年代初頭に来た時は自分の背丈より大きいハリバットを連日誰かが釣ってきていて、釣り人が獲物を前にした記念写真を撮っていた。こんな光景が普通だったのである。

 午前7時、キャプテンビーズ・アラスカンチャーターの船は、巨大ハリバットが潜むな釣り場を目指してフルスロットルで走り出す。この時ホーマー港から同じような釣り船が同時に何艘か出たが、我々の船のスピードはめざましく、他の船がどんどん後ろに置いて行かれるほどの高速である。こうした釣り船の高速化は、ポイントが少ない日本ではどこでも見られるようになってきたが、アラスカでも同じなのかもしれない。出来るだけいいポイントに誰よりも早く着くことが大釣りの大前提であるのは万国共通のようだ。
 港を出て約1時間、ようやくポイントに着いた。船はその付近でイカリを降ろし、潮に流されない準備を始めた。アラスカの海は水面の波立ちは少ないが、潮の流れは猛烈に早い。以前はその早い流れのままに船を流して海底を探って行ったのだが、今回は船をイカリで止めて釣るらしい。
 渡されたタックルを見ると、50号くらいの太さのラインに1㎏ほどの重たいオモリがついている。ハリスは50㎝ほどで、マグロでも釣れそうな大きなハリにサーモンの頭と塩漬けにしたニシンがエサとして付けられている。だが、そんなに重たいオモリでも潮が速いから、仕掛けを沈めるとたちまち潮下に流されてしまう。
 多分水深は30mくらいの浅場と思うが、早い潮に流されてラインは50m以上出たところでようやく底に着いた。ハリバットはカレイの仲間だから海底にへばりつくようにしている。だから日本のカレイ釣りと同じように仕掛けは必ず底に着いていなければならない。早い潮で仕掛けが浮き上がりがちになっても仕掛けが底に着くまでラインを繰り出す必要があるのだ。
 だが、日本のカレイ釣りと違うのはアタリの大きさだ。東京湾のカレイなんかすごく微細なアタリをする。それを見逃さないよう神経を集中させて竿先のわずかな信号からアタリを読み取るのだが、ハリバットにそんな繊細さはない。エサが底に着くと「ゴツゴツ、ゴツーン」という強烈なアタリが伝わってくる。モノが大きいだけにアタリも明確である。
釣り師憧れの地アラスカ3、ホーマー (No.473 09/08/22)_d0151247_2347358.jpg ホーマーのハリバットは一人1日2尾までがリミットである。小生、仕掛けを降ろしてすぐにアタリがあり、釣り上げたら40㎝ほどのベビーハリバットが釣れて来た。以前来たときは60㎝以下はリリースだったが、今年の釣り規則を見るとサイズの制限は無くなっている。クルーがベビーを見て「キープするか」と聞いてきたので、こんなのは要らない。すぐに逃がしてくれと頼む。そうでないとたちまち2尾の制限尾数になり、その後の釣りが出来なくなるからだ。
 次にきたのは80㎝くらいのサイズである。だが、それでも自分には不満である。以前来たときはこのサイズもリリースしていたからだ。折角ホーマーにきたのだから畳みくらいの大きさがある2m級を狙いたかったのだ。ところが、船のクルーは小生の意志を聞くことなく、棍棒を取りだしていきなり頭を叩いてキープさせてしまった。一昨日のスワードでベビーサーモンの頭を叩かれてキープされたのと同じ状態である。かくして、ものの1時間ほどで制限の2尾を確保させられて、釣り終了となってしまったのである。
 アラスカの海は昔と同じようにハリバットが一杯いた。しかし、釣れてくる魚のサイズは明らかに小さくなっている。前日のシルバーサーモンと同様、釣りの桃源郷も次第にその姿を変えつつあるようだ。
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最初に釣れてきたのは、本当に小さいベビーハリバット。こんな小物をキープしたら昔は犯罪者になるところだったが、最近はサイズ制限がなくなり、クルーが「キープするか」と聞いてきた。時代はアラスカでも確実に様変わりし始めているようだ。
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当日小生が釣り上げたのはこのサイズ。本当は畳みくらいある馬鹿デカイ奴を釣りあげたかったのだが、それは今回も夢で終わってしまった。

*アラスカではこの後、川で銀色に輝くきれいなシルバーサーモンを釣ったのだが、それはいずれ時間が経ったときもう一度発表するかもしれない。とりあえず、アラスカシリーズは今回を持って終了したい
by weltgeist | 2009-08-22 23:49


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