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ワーファリンと脳梗塞の危険1、7月23日緊急入院の経緯 (No.465 09/08/08)

 小生の心臓には金属製の弁が取り付けられている。こんな物付けたくなかったが、弁を交換しないと心臓から送り出される血液が全身に回らず、最終的には死に至るというから仕方がなく心臓手術で金属の弁を取り付けたのである。これを付けることで、自分は鉄の心臓を持つ男になった。しかし、それは名目だけで、鉄のように強くなったわけではない。鉄の心臓は皆さんが持って生まれたままの心臓と比べるととても心細いものでしかないのである。
 心臓の弁が金属になるとどのようなことが起こるかというと、まず弁が故障する危険(故障すると命の保証は極めて危うくなる)がある他に、弁の周辺に血栓が出来やすくなるのである。血栓は血管を詰まらせる原因となる。大動脈から全身に送り込まれる血液の中にドロドロした血栓が生じると、それが血管を詰まらせ、詰まった先の部分を壊死させる恐れがあるのだ。特に問題なのは脳の血管に血栓が詰まった場合、脳梗塞の原因となることだ。
 こうしたことを避けるために、小生のような心臓に障害のある人は血栓が出来にくいよう血液をサラサラにするワーファリンという薬を飲む必要がある。しかし、サラサラにすれば安全かと言うと、今度は別な問題が出て来る。血液の粘性が弱まるから出血しやすく、また、一度出血するとなかなか血が止まりにくくなるのだ。5月に小生が出血性胃潰瘍で入院したのはワーファリンの悪影響からである。普通の人なら軽い胃炎程度で済んだのが、サラサラ血液の小生は、胃の内部から血が出て止まらなくなってしまったのである。サラサラにするにしても限度があって、やりすぎても危ないのだ。
 ほぼ一ヶ月間近く入院させられた5月の胃潰瘍事件は自分にとってはショックだった。というのも7月にはキルギスで厳しい山登りをしなければならないからだ。足の痛みを和らげる痛み止めも飲まなければならない。しかし、痛み止めは胃を荒らし、再度の出血を起こす恐れもある。
 安全にキルギスに行くためには、血液のサラサラ度を少し弱める必要があるのだ。小生、ワーファリンの服用量を自己判断で少し減らしたのである。奇数日は3㎜グラム(3粒)偶数日は4㎜グラム(4粒)飲んでいたものを、先月のキルギスに行っている間は偶数日の4粒を無しにして毎日3粒にしたのだ。それで胃内出血が防げると思っていたのである。ところが、こんな微量な調整にもかかわらず、それが思いもかけない事態を引き起こしたのである。

 それは信じられないような出来事だった。先月23日の朝、電話を掛けようと携帯を左手に持ったら、携帯がポロリと手から滑り落ちたのだ。一瞬何が起こったか分からなかった。そして携帯電話を拾おうとして自分の左手が全く動かないことに気づいたのである。左手がまるで自分の腕ではないみたいにブラブラしているだ。
 ほんの数秒前まで全く何事もなかったのが、いきなり左手が麻痺してしまったのである。これが脳梗塞の発作であることをはすぐに分かった。しかし、どうしたらいいのだろうか。運の悪いことに、妻は近所に出かけている。病院に行くにしても、こんな状態では車を運転することなど出来ない。かと言って救急車を呼ぶのは恥ずかしい。
 頭が混乱している時、妻が戻ってきた。すぐさま市民医療センターに電話して、近くの脳神経外科がある病院を紹介してもらい、妻の運転する車でそこに向かう。前の胃潰瘍の時もそうだったが、妻には迷惑をかけっぱなしである。しかし、今の小生には妻にお礼を言う余裕もなかった。
 病院での診断は自分が予想したとおり「脳梗塞」であった。いやはや、5月の胃潰瘍に続いて、今度は脳梗塞だと言う。自分はとんでもない病気のデパートであることを思い知らされただった。もはやこの緊急事態ではブログの更新も出来ない。かくして7月23日以来、またしてもブログは中断され、小生は病院のベッドで点滴を打たれ続けることになったのである。
この項、明日に続く。
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日本国を代表する国蝶として誇り高き姿で大空を飛翔していたオオムラサキが森の中で寂しく死んでいた。こんな姿を目撃することはまれであるだけに、それを見つけた小生は心が痛んだ。病気がちな自分の体が死んだオオムラサキにオーバーラップするようで、言葉もなくその場に立ちすくんでしまったのだ。
by weltgeist | 2009-08-08 22:04


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