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コピー アンド ペースト (No.1949 14/04/11)

 小保方さんが書いたSTAP細胞の論文が他人のものをコピー アンド ペーストしたでたらめなものだと騒がれている。小生が大学に入学した昭和36(1961)年ころ、コピー機は非常に高価なもので、学生たちが簡単に使うことなどできなかった。試験前になると手書きで大学ノートを書き写したものである。だから、人様の論文をそっくりいただいてしまう問題など起こりえなかった。もちろん、時々作家が他の人の小説を一部丸写しして問題になったことはあるが、そうしたことはれはごくまれなことだったのである。
 しかし、現代はコピペが大流行で、小生のブログでさえコピペして、さも自分が書いたオリジナルのようなふりをするやからがいる。ある大学で哲学を教えている知り合いが、学生にレポートを提出させたら、中身がまったく同じ内容のものがゴロゴロ出てきたと苦笑していた。いまやコピペは罪の意識もなしに公然と行われている社会現象なのである。小保方さんも深く考えることなくコピペしたのだろう。
 コピペは他人の成果の盗用だから自分のオリジナリティはない。どんなに上手に書いても原作者のレベルを超えることはできない。論文が意味を持つのはそれがオリジナリティがあるかどうかである。だからコピペを小保方さんがやったことは問題の本質からは離れる。
 もし小保方さんの論文がコピペだけで構成されているとすればこれは論外の盗人である。しかし、他人が言っていないこと、すなわちSTAP細胞についてはコピペでは書けない。問題の本質はSTAP細胞が存在するかどうかである。
 科学論文においては実験データやその方法を書いた実験ノートの存在はもちろん重要である。小保方さんに欠けているのはこの部分で、世間はそれが信用できないと言っている。それは当然だろうが、まだSTAP細胞が完全にでたらめとは言い切れないと言う学者もいる。昔の錬金術師が怪しげな実験を繰り返すうちに、何か得体の知れない物を作り出してしまった。しかし、その実験方法を記載していなかったから、次に再現できなかったといったことも考えられるのではないだろうか。
 これまで人類が発展してきたのはすべて先達の模倣をベースにしてきている。たとえば、パソコンやテレビといった製品もエジソンが電気を発見したから可能である。昔の人が苦労して作り上げた物をベースに、新たなオリジナリティを追加してできている。何から何まで100%オリジナルなんてありえないのだ。今のコピペ全盛は困った風潮ではあるが、それが新しい世界を切り開くベースを作っているとも言えるのである。
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ルーブル美術館にあるこの絵はジョットがアッシジのサン・フランチェスコ大聖堂に描いたフレスコ画・「小鳥に説教する聖フランチェスコ」のコピーである。ただし、描いたのがジョット本人だからコピペのことは問題にされていない。

by Weltgeist | 2014-04-12 23:56


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