以前、二度にわたって我が家にホームステイしていたイギリス人のジョン・テモテ君がふたたび日本に戻って来た。それも今回はなんと新婚ほやほやの奥さんを連れて・・・。
2012年に最初に我が家に来た時は、飛行機を作っている工場で働いている好青年だった。そして次の2013年にもう一度来た時は、イギリスに帰ったら工場をやめて神学校で新たに勉強すると我々に言っていた。そうしたら彼は本当に工場をやめて神学校をも卒業。そして、奥さんを見つけて、日本でキリスト教のミッショナリーになりたいと言って戻って来たのである。 それにしてもイギリスから、9000㎞も離れた日本でミッショナリーとして骨を埋めたいと思うには相当の決心がいるだろう。日本の若者は自分の進路を決められず、漠然と生きている人が多いが、ここまで自分の生きる道を見つけ、それに邁進していけるのは羨ましい気持ちがする。とくに若いビリタ(24歳だそうです)の方は日本に来るのも今回が初めて。そんな遠くの国に来ることに不安はなかったのか。聞いてみたら全然気にしている風でもなくケロッとしていた。しっかりと生きる道を決め、それに向かう若さは素晴らしいと思った。 #
by Weltgeist
| 2016-05-20 23:07
しかし、そうは言っても写真のような大鯛となると尋常な気持ちではいられない。この鯛は先日私の釣り友達が「沢山釣れたので一匹どうぞ」と言ってお裾分けしてくれたものであるが、ご覧の通り、我が家にある一番大きい大皿でもまだからだ半分、下に敷いた新聞をもはみ出す大物である。あまりの大きさに猫どももちょっとおっかなびっくり獲物の臭いを嗅いでいるだけだった。 おめでたい魚の代名詞である鯛でもここまで大きいサイズは滅多に釣れるものではない。だが、釣友はこのくらいのサイズが何尾も釣れたと、誇らしげに言う。こんな大鯛を人に配るほど釣った彼は、ものすごくエキサイティングな釣りを体験したようだ。釣り人にとって最高に幸福な瞬間、あふれんばかりの栄光に満ちた大漁の恵みが彼に降り注ぎ、そのお裾分けが我が家にまで来たのである。 恵みというものは伝染する。良き恵みを受けた人の喜びは、それが自然と他の人にも伝わって行く。そうやって恵みの輪はまわりの人々に拡がっていくのだ。だから本当は我が家に届いた大鯛の恵みを次の人に分け与えなければならない。それが恵みをもらった人の使命でもあろう。しかし、残念ながら恵みの連鎖は我が家で途絶えてしまった。私たちはこの大鯛を他の誰にも分け与えることなく、三日間賞味し続けたのである。刺身、煮付け、塩焼きなど定番の魚料理で食べつくし、残った部分は猫どもにも与えた。友人の大漁がもたらした恵みの喜びに我が家は三日間にわたって包まれたのである。 #
by Weltgeist
| 2016-05-09 23:25
人は人生の意味をどのように見ているだろうか。その答えは簡単には見つからないだろう。考えても分からないことに関わるのは時間の無駄かもしれない。むしろ生まれてきたから仕方なく生きていると思うのが一番気楽である。小難しいことに首を突っ込まず、とにかく楽しく生きましょう、と思う方が利口であろう。
だが、そう思っても、怠惰な生活をしていると、ときどき疑問の声に揺すられて、はたと答えに窮することがある。人間はまじめな生き物だからいい加減な気持ちでいようとしても心のどこかから人生の意味を問う声がわき起こってくる。「お前はせっかくの人生を有意義に生きているか」、「動物と同じような惰性だけで生きているのではないのか」、「このまま何も努力しないでいいのか」、という反省の声が心のどこかから答えを迫ってくる。何も考えずに気楽に一生を過ごすことができないのである。 だがそれでも答えなど分からない。それなのに人は自分の存在理由として人生の意味、生きる意義を探せと促されている。答えが見つからないのに、探そうとする矛盾。しかし、その中にこそ人が生きる意味が隠されている気がする。一茶ではないが「盥(たらい)から盥へうつる ちんぷんかんぷん」で人は一生を終える。赤子で生まれてたらいの湯船で洗われ、棺桶で葬られるまでの間、人生はちんぷんかんぷんなままに終わってしまう。ちっぽけな人間にはその答えを見い出すのはもともと無理だけれど、それでも必死に探さざるを得ない。その矛盾こそが人生の意味ではないのか。 自分が頼んだわけでもないのにこの世という舞台に裸の赤子で放り出される。そして頼んだわけでもないのに生きろと促され、頼んだわけでもないのに、この世からまもなく退場させられる。人生って世界と呼ばれる「劇場」で演じるドラマという気がする。 しかし、一体誰が私をこの世に生まれさせ、この世から退出させるのか。無から生まれて無に帰っていく。ニーチェはこれを「虚しきものの永劫回帰」と呼んだけれど、もし虚しいだけなら悲しすぎる。少なくとも私の人生は虚しくはないと思いたい。そうだとすれば、「お前はこの世に出て、生きよ」と命じた者、創造主とも超越者とも神とも呼んでいい何者かが、私自身には分からない隠された意味、存在理由を携えてこの世に送り出したと私は考えたいのだ。 私を世に送り出した創造主の意図は分からないけれど、何らかの使命を持たされてこの世に送ったのだろう。だからこそ私の人生の意味はある。私をこの世に生まれさせてくれた超越者に感謝し、私に課せられた使命を少しでも理解する。そしてこの世の舞台にいる限り超越者が課した使命に沿うよう全力で努力したい。それこそ私の存在理由ではないか。よわい73歳にしてそんなことを思い始めている。 #
by Weltgeist
| 2016-03-24 22:49
寒い季節のおり、幸せって何だろうかと考えてみた。とりあえずは毎朝暖かい布団の温もりのなかにいつまでも潜り込んでいても誰からも文句を言われない。これって最高に幸せなことではないかと思った。仕事をしていた現役時代と違って、目覚まし時計で無理矢理起こされることもない。自然に目覚めて、それから30分ほど布団のなかでじっとしている。外は寒いだろうなぁ、このままずっと布団にくるまっていたいと思う30分こそわが至福の時である。布団が素晴らしい桃源郷を提供してくれる。これ以上何の幸せを望もうか。
かなり小市民的な幸福感だが、私にはこれで十分幸せと思えるのだ。そして世の中良くしたもので、同じような思いをしたものがいる。私が寝床につく時間になると猫のイライがやってきて布団のなかに潜り込む。彼も暖かい布団で「幸せ」を感じつつ朝までぐっすりと寝ている。そんな愛猫と一緒に布団にくるまって朝を迎えられることが私の至福感を増幅させるのだ。 だが、いつまでも布団にくるまったままでいるわけにはいかない。万年床状態で一日中寝ていることもできるが、それではなまけ者になってしまう。前回セネカの言葉で紹介したように、怠惰な人生は生きる意味をも虚しくさせる。適度にセーブしつつ30分もしたら覚悟して布団から飛び起きて、一日をスタートさせるしかないのだ。 嫌だなと思っても、まじめに仕事をしている人たちは、とっくに起きて働いている。仕事もせずに朝の惰眠をむさぼる贅沢さをありがたいと思いつつも嫌々ながら起きるしかない。そうなると、ささやかな幸せはたちどころに消え去って現実に引き戻される。こうやって人は生きていくのだろうか・・・。 #
by Weltgeist
| 2016-02-26 23:55
最近はバス旅行がはやりだが、事故も多い。先日も軽井沢でバスの大事故があり沢山の若者が亡くなっている。他人に運転を託すバスの旅は多少心配もあったが、雪道を自分の車で運転していくとスリップする危険の方がずっと高い。運転に自信のない私にはバスの方がはるかに安心だし、楽である。まぁ、大手のバスなら事故に遭うのもまれだろうと自分に言い聞かせ、八重洲口のバスターミナルに行くとご覧のようなホテル専用のバスが待っていた。 #
by Weltgeist
| 2016-02-19 23:56
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